みなさんは湯の峰温泉という温泉をご存知でしょうか?僕も熊野古道を歩いて熊野本宮大社へ行こうと計画を立てるまでは全然知りませんでした。この湯の峰温泉、実は日本最古の温泉とも言われていて、発見されたのは成務天皇の時代(西暦23年ごろ)、以来、熊野詣の湯垢場(ゆごりば)として広く知られるようになり、奈良時代、平安時代から奥熊野の薬湯としても名高い温泉だそう。世界遺産に登録された"つぼ湯"もある温泉で、泊まってみるととてもいいところでした。熊野本宮大社までも、熊野古道を通って1時間半くらいなので距離的にもちょうどいい。しかし、交通の便はお世辞にも良いとは言えないので、今回はそこまでの行き方と、オススメの宿(ゲストハウス)もご紹介しようと思います。
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湯の峰温泉へのアクセス
湯の峰温泉はどこにあるかというと、上の地図のピンを立てたところにあります。地図だと伝わりませんけど結構な山奥です。もちろん電車は通っていないので、湯の峰温泉へは、自家用車やレンタカーで行くか、路線バスを利用するかの二択が主になるかと思います。どこから乗るかにもよるかと思いますがタクシーだとほぼ確実に1万円は超えるので、あまり利用される人はいないでしょう。旅の強者の中には自転車で訪れたり、熊野古道を歩く中継地点として選ぶ方もいらっしゃったりするかと思いますが、僕みたいなニワカ旅人(笑)は節約しつつ文明の利器に頼ります。この記事では路線バスを利用したアクセス方法を解説していきます。
湯の峰温泉への路線バス
湯の峰温泉へのバスは大きく分けて2つあります。
- JR新宮駅(和歌山県)と熊野本宮大社を結ぶ熊野御坊南海バス53系統
- 近鉄大和八木駅(奈良県)とJR新宮駅を結ぶ奈良交通八木新宮線
どちらのバスも、1日の運行本数は非常に限られていますので、バスの時間を中心に据えて旅程を立てるのがいいと思います。
僕はこの日、朝から那智エリアを回り夕方に湯の峰温泉に向かって1泊するという旅程を立てていて、那智山から下りてきたあとJR新宮駅に移動し、そこから出ている熊野御坊南海バスを利用しましたので、この路線について書いていきたいと思います。(ちなみにもう一つのバス、奈良交通の八木新宮線は、僕もあとで知ったのですが、日本一長い路線バスということで有名で、多くのブロガーさんたちが記事を書いていたりYouTuberさんたちが動画を公開していたりしますので、そちらも楽しいですよ。)
JR新宮駅前のバス乗り場
別に始発点から乗らなくてもですね、途中のバス停から乗ってもいいんですけど、訳わからなくなってしまいそうな僕は、最も単純に始発点から乗る方法を取ります。
JR新宮駅前のバス乗り場は駅の東口にあります。大きなロータリーがある側ですね。駅舎からロータリーを挟んだ向こう側にバスの待合室も兼ねた観光案内センターがあって、その前がバス乗り場になっています。出発時間が近づくとおもむろにバスがやってきて、バックで駐車し、出発を待ちます。ちなみに観光案内センターは17:00で閉館してしまいます。
乗るべきバスは53系統
上にも書きましたが、湯の峰温泉に行くために乗るべきバスは熊野御坊南海バスの53系統本宮大社前行きのバスです。基本的にはこんな黄色いバスですが、稀に新宮市やましろ号の青いバスで運行されることもあるみたいです。
本数はとても少なくて、JR新宮駅から湯の峰温泉に行けるバスは、熊野御坊南海バス53系統に限って言えば毎日夕方に2本しかありません。奈良交通の八木新宮線302系統3本を含めても1日に計5本です。
ただし、奈良交通の302系統のバスは、いずれも午前中に湯の峰温泉を通過するダイヤなので、温泉に宿泊するためには、到着が早すぎるかなと。ということはやっぱり熊野御坊南海バスの夕方の2本のバスのどちらかに乗るしかないのかなと思います。
詳しい時刻は下の写真をご覧ください。JR新宮駅を発つ熊野御坊南海バス53系統の時刻表です。毎日16:00と18:15の2本だけの運行です。ダイヤが改正されているかもしれませんので、お出かけ前には念のため熊野御坊南海バスのページもご覧ください。(奈良交通の八木新宮線302系統の時刻表は写真を撮ってませんが、参考までに書いておくと、平日は5:53、7:46、9:59発の3本で、土日祝日は3本目だけ時間が変わって10:18の出発です。詳しくは奈良交通のページへ。)
なお、運賃はJR新宮駅から湯の峰温泉まで片道1,570円で、現金払いのみ(奈良交通はわかりませんが、熊野御坊南海バスはPayPayも使えるっぽいです)、交通系ICカードは非対応でしたので1,000円札以下の細かい現金をご用意ください。(料金は奈良交通のバスも同じです。)
出発前に食料や飲み物の調達を
大事なことを忘れそうなので、ここで書いておきますが、湯の峰温泉にはコンビニや商店は一切ありませんので、バスに乗る前に予め食料と飲み物をJR新宮駅周辺でゲットしておくのがベターです。もちろんちゃんとした旅館に泊まるのであれば、夕飯と朝食は付いているでしょうし、きっと旅館の中に自販機があったりして飲み物をゲットしたりすることもできるでしょう。けど、これから僕が紹介しようとしているゲストハウスに泊まる方は要注意!ゲストハウスなので夕飯や朝食は付いていません。館内でレトルト食品やカップ麺、お菓子などの簡単な食料やペットボトル飲料の販売はあって、夕飯時には白米、朝食時にはお粥の無料提供がありますが、それだけじゃちょっと味気ないなぁ…という人もいると思います。夜、入浴後ののんびりタイムに好きなお菓子を食べたりお気に入りのお酒を飲んだりしたい人もいると思います。ですので、バスに乗る前、JR新宮駅周辺のコンビニやスーパーで食料や飲み物を用意しておくことをおススメします。
JR新宮駅の東口、バス乗り場の向かい側にはローソン(下の地図で挿したピン)がありますし、そのローソンから東の方に少し地図をずらすとオークワというスーパーもあります。駅から徒歩5分くらいです。スーパーの方が何かと安いので、スーパーの方がおすすめかな。お惣菜もありますし。僕もですね、ゲストハウスで夕飯時に白米を無料で頂けることは宿泊予約の段階でわかっていたので、お惣菜と翌日の朝に食べるパンをこのオークワさんで購入し、大好きなコーラもゲットしてからバスに乗り込みました。
湯の峰温泉に到着
さて、食料もゲットして無事にバスに乗ることができたら、あとは1時間少々のバス旅を楽しむだけで湯の峰温泉に到着します。途中車窓からは雄大な熊野川を望むことができるので、進行方向右側に座るのがおすすめかな。
湯の峰温泉のバス停付近は下の写真ような景色で、the昔ながらの温泉街といった感じです。湯煙モクモクのデカい温泉街もいいですが、こんな感じの、本当に昔からあって、あまり温泉リゾートチックに開発されすぎていない温泉街もまた趣があっていいですよね。バス停は下の写真でいうと、右端に見切れているハイエースのあたりにあります。JR新宮駅から来たバスは見切れているハイエースと同じ向き、つまり写真右奥から手前に向けて走ってくるイメージです。
ゲストハウスでも温泉に浸かれることがわかっていたので上の写真に撮った公衆浴場には行かなかったのですが、どうやら2022年の春にリニューアルオープンしたばかりのようで、新築ピカピカでした。つぼ湯も世界遺産の温泉だったし、入ればよかったなぁ…この記事を書きながらちょっと後悔。
帰りのバスの時間もチェック
僕はこの日、湯の峰温泉に1泊して、翌日は熊野古道を歩いて熊野本宮大社まで行くという予定でいたので、湯の峰温泉からバスに乗ることはなかったのですが、みんながみんなそうとも限らないので、帰りのバスの時刻表も載せておきますね。
湯の峰温泉のおすすめの宿(ゲストハウス)紹介
さあお待ちかね、僕が泊まった湯の峰温泉のゲストハウスを紹介します。まあ紹介するまでもなく、湯の峰温泉のゲストハウスというとこの1件しかないのですが、ジェイホッパーズ熊野湯峰ゲストハウスさんです。このジェイホッパーズ、関西を中心に多くのゲストハウスを展開しているチェーン店で、僕が泊まったここもその系列のうちの一つです。
もともと別の旅館が入居していたと思しきゲストハウスですが、中はきれいにリノベーションされていてとても過ごしやすかったです。僕が泊まったのはドミトリーでしたが、2階には個室もあるようでした。(他のお客さんもそんなに多くなかったので、ドミトリーを選びましたが丸々貸切個室状態でした笑)
このゲストハウスの設備としては、
- 洗濯機・乾燥機(いずれも1回200円)
- 貸切の個室の温泉(内湯2室、露天1室、別途入湯税150円現地払い)
- 玄関前に足湯
- 共用洗面台
- 共用トイレ
- 和室リビングルーム
- キッチンと調理器具各種
- 食品・飲料販売
- 夕飯時には白米、朝食時にはお粥が無料!
- レンタル自転車あり
- 駐輪場
- 先着2台の駐車場
という感じで、さらにドミトリーの個室には収納棚やリーディングライト、ハンガーとハンガーフック、USBも挿せるコンセントもあって、とても快適でした。スタッフのみなさんも気さくで親切な人ばかりでした。
また、この宿のすぐ裏が熊野古道の大日越(だいにちごえ)登り口の入り口と、熊野古道へのアクセスが抜群なので、熊野古道を歩いて熊野本宮へ向かう方、その逆の方にもおすすめです。
貸切浴室の写真とかも撮ったつもりだったけど、撮っていませんでした。でもGoogleマップのレビュー欄やいろんな宿泊予約サイトにたくさん写真が掲載されているのでそちらをご覧くださいませ〜。
ちなみにジェイホッパーズまでの道のりですが、湯の峰温泉バス停でバスを降りたら、公衆浴場やつぼ湯を右手に見ながら坂を少々登ります。すると下の写真のように”ジェイホッパーズこっち”の看板が見えてきます。
この看板のある細い路地を上がっていくと、下のような建物が見えてきます。
ジェイホッパーズの看板を掲げた建物の下にはまた細い路地があって”ジェイホッパーズこっち”の看板が再び現れますので、これに従って路地を上がっていきます。
この路地を上がっていくといよいよ玄関というか門にたどり着きます。
ゲストハウスというと、設備は全部共用だし、相部屋だし(個室もあるけどねっ)、食事はついてないし、他のゲストが気になって寝られないんじゃないか?防犯面でもちょっと心配…という方ももしかしたら多いのかもしれません。
確かにホテルや旅館に比べれば不便な部分が多いです。自分専用のスペースもベッドの上だけなので狭いです。だけどせっかく旅に出ているんだから、その不便さ・不自由ささえも楽しんじゃいましょうよ。
僕も決して陽キャではありませんし、話し下手ですが、スタッフさんとの会話を楽しんだりしています。スタッフさんもまた旅好きな人が多いので旅の話で盛り上がることもしばしば。海外のゲストハウスだと、寝たいのに他のゲストに巻き込まれて話をせざるを得ない時だってあります。でもそれが楽しい。こういうのってホテルや旅館ではなかなかできないんじゃないかなと思っています。いいですよ、ゲストハウス!
まとめましょうかね
さあここまでJR新宮駅から湯の峰温泉への路線バスでの行き方を書いてきましたが、要点をまとめると、
-
- 熊野御坊南海バス53系統に乗るべし
- JR新宮駅発の53系統バスは16:00発と18:15発だけなのよ
- 奈良交通八木新宮線302系統のバスも湯の峰温泉は通るには通るけど朝早すぎるぜ
- JR新宮駅から湯の峰温泉までの運賃は1,570円
- 交通系ICカードは非対応(現金か、PayPayもOKっぽい)
- バス乗車前にJR新宮駅周辺のコンビニやスーパーで食べ物飲み物をゲットしよう
- 湯の峰温泉にある世界遺産のつぼ湯も入ろう(僕は入らなかったのでちょっと後悔)
- 湯の峰温泉の公衆浴場は2022年春にリニューアルされてピカピカだぜ(こっちにも入らなかったのでやはり後悔)
- 泊まるならジェイホッパーズ熊野湯峰ゲストハウスがオススメ(一人旅でも家族連れでも)。
です。記事の途中にも書きましたが、熊野古道を熊野本宮大社まで歩きたいなんて方には、湯の峰温泉ほんとおすすめです。湯の峰温泉から熊野本宮大社までは熊野古道大日越を歩いていけば、およそ2kmほどの距離で、急峻な山道なので時間はかかりますが、それでも1時間半くらいなので、全行程歩く途中の最後の中継地点としてもいいですし、全行程は無理だけど…という方にも歩けない距離ではないですからね。
ぜひ、湯の峰温泉を検討されてみてくださいね!
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